20230211 ザ・ビューティフル・ゲーム@梅田芸術劇場 感想文

ミュージカル

久しぶりに!劇場で心震え生きてる実感が出てきて、その衝動に突き動かされ感想文を書くことにします。心震え生きてる実感があるから生きることが出来る、分かるような分からないような、心震える瞬間が原動力です。

!!ここから先はネタバレが多いです!!
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『ザ・ビューティフル・ゲーム』公式サイト|小瀧望(ジャニーズWEST)主演

ザ・ビューティフル・ゲーム、大変良かったです。お恥ずかしながら、カトリックとプロテスタントの違いも分からない、北アイルランドのことも他のミュージカル作品で知ったレベルで、よく勉強してもっと知らねば…と思いました。

時代は1969年から1972年の北アイルランド、今の日本からすると遠い存在に思えます。
でも、プロテスタントとカトリックの対立があり、IRA(アイルランド共和軍)のテロがあり、決して穏やかではない状況が現在と重なる。平和を愛する人が損をするようなこと、立場が悪くなるようなことについては、特に。
メアリーの愛国心やデモ行進って疎まれるんだなとか、真面目な女性はもっと疎まれるとか(オドネル神父の台詞から)、今と変わらないじゃんね…冷笑して、イキって、真面目じゃないことに価値を見出して連帯する男たち(トーマスたち)を見てそう思いました。
その中から少しずつ抜け出そうとするジョンの姿に心打たれるし、ホモソーシャルなものから抜け出すのってすごいエネルギーいるのよね。抜け出してから「生きるに値する人生」という劇中の台詞が響いてくる。
響いてくる反面、トーマスの最期が孤独で悲しくて…東啓介さんの泣きの入った芝居がすごいしんどかった。仲間を売って孤独で明日もないなんてそれ以上言わなくていいよ…
生きるに値する人生の対比としてトーマスが在るようで、光があればそりゃ陰はあるけど、あんまりだよなぁ…
トーマスのやったことは決して褒められることではないし、地獄に落ちても仕方がないけれど…(ダニエルの膝を撃ち抜くよう命令した、ジョンを警察に売った…)、孤独でとても悲しい存在に見えました。とんちゃん好き補正もかかってるけど。
クリスティンとデルの子供に意地悪なことを言う人たちの場面、ジョンとメアリーの子供、について、産まれてくる子供は希望であり、何も背負わせない・戦わせないという決意を感じ…世界は希望に満ちていてほしいし、誰も何も背負わなくていいし、戦わなくても、争わなくてもいいのだというメッセージを受け取りました。

ダニエル(新里宏太さん)が盗み癖があるのはそうした生まれということなのかなとか、ノンポリの姿勢をとるのとか、ノンポリって政治的でないことではないなあと思ったり。ヘラヘラして自分に罪が被らないよう立ち回ってるようで、でもそれは別に悪いことじゃないし…
ジンジャー(皇希さん)の平和を愛する姿勢はともすれば現実をみていないようで、こっちのほうが政治に向き合うことを避けているように見えた。台詞回し一つとってもこの二人の政治的姿勢が読み取れた、気がした。
実際、日頃の振舞に政治思想は現れるわけで、結構はたから見ていてわかったりするよねと…
ジンジャーとバーナデットがかわいくてかわいくて…束の間で終わってしまったのが悲しい。
ダニエルもまた思いやりのある男で、ヘラヘラしてるけど悪党じゃないんだよな。トーマスが悪党にならざるを得なかったのがつらい。あの写真の約束を一番裏切ってまで生きざるを得なかったのは悲しい。
そうそう、原題は「The Boys in the Photograph」なんすよね。

ここからは苦言を含む。ジョンがトーマスの逃亡を手伝ってから投獄されて、出所してからの描写がいまいちわかりづらかった。瀬戸山美咲さん演出の作品を観るのはこれが初めてですが、演技プランが分かりづらいのと箱の大きさにあってない感じ。装置も衣装もなんかバランスよくなく感じたのと、ミュージカルぽくない演出でミュージカルが進んだ感じ。ここは合わなかった。そのちぐはぐさを差し引いても、いい舞台でしたよ。

今もなお世界情勢は不安定で、憎しみあい、争いあい、負けないこと・戦いに勝つことに重きを置いているのは変わらなくて、だからこそ、この物語は必要とされるのかな。歴史に学び繰り返さないために、とも、希望を忘れないために、ともとれる。そうか、今の自分に必要なのは希望だったんだなぁ…キャリアプランとか大事だけど、生きて健康で働いて稼いでキャリアアップして、はやらないと暮らしていけない焦りがあるけど、それよりも大事なのは希望とか、生きてる実感とかです。

どうしても陰側に肩入れしてしまうのでトーマスがつらいと感じる。あの写真の中のトーマスは等身大の少年に見えた。あのままでいてほしかった、な。どうやったらあのままでいられたのかな。オドネル神父の言うこと、写真を焼き増しして忘れないように・青春時代の約束に忠実に、という言葉は、だいたいは手遅れになってから思い出されるね。
これを読む皆さんも経験があるかもしれないのだけれど、学生時代は仲が良くても思想の違い、信仰の違いetcで仲違いしたり、場合によってはひどく裏切られたりということはあると思う。そうならないためには、どうしたらよかったのかな…と振り返ったりもする。
手遅れになる前に分かれば、どんなによかったか。
人生はそうしたことも度々積まれていく。

とまあしんみり湿っぽくなりましたが、久しぶりに息切れしながら劇場を出て、人生は素晴らしくて生きるに値するものだ!と叫びたい気持ちでいっぱいになりました。どこで何があるか分からないから、なるべく観てたほうがいいんだ。

ここから余談。
世界初演が2004年、日本での初演は2006年櫻井翔主演、その次が2014年ということでちょっとだけ調べて拾えたリンクを貼ります。

櫻井翔・安良城紅 A・ロイド・ウェバー作曲『ビューティフル・ゲーム』製作発表 : シアターフォーラム@nifty

SEVEN HEARTS:【舞台】 ザ・ビューティフル・ゲーム(2014) – livedoor Blog(ブログ)
「ザ・ビューティフル・ゲーム」(2014)/「小説ウィングス」連載中観劇エッセイ「非常灯は消灯中」未掲載文章|菅野彰|note

まとめてみた

200620142023
演出ジョーイ・マクリーニー藤田俊太郎瀬戸山美咲
ジョン櫻井翔馬場徹小瀧望
メアリー安良城紅大塚千弘木下晴香
トーマス山崎裕太中河内雅貴東 啓介
クリスティン華原朋美フランク莉奈豊原江理佳
バーナデット野田久美子加藤梨里香
ダニエル黒田勇樹小野田龍之介新里宏太
ジンジャー脇知弘藤岡正明皇希
デル平方元基木暮真一郎
オドネル神父浜畑賢吉吉原光夫益岡 徹
まとめてみました

2014年の公式な稽古場映像

Origin Theatrical | The Beautiful Game (A.K.A The Boys in the Photograph)
The Boys in the Photographのほうが好みかも。ただタイトルのつけ方で物語の見え方も変わるよなぁー。

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