タイトルに「2023」とつけたのは、日本で上演されるマチルダがこの先も続いてほしい、という願いを込めて。
相変わらず記憶の中全部出しの勢いで書きだしてます。読みづらいです…
2023.5.30 18時公演、2023.6.2 13時公演、2023.6.4 12:30公演の計三回観ました。写真は6.2、台風接近の日、普段外に出されているマチルダ看板が中にしまわれていた時のもの。
大人キャストは全キャストコンプ、アンサンブルの方はそれぞれ観れたけど枠全追いまでできず(これはたまたまみれたらラッキーくらいのもの)、マチルダとブルースとエリックは2パターンのみ。
もともと6.4のチケットだけ取ってたんだけど、色々見聞きするに好きになれそうと思ったので増やしてました。グッズも、パンフレットとフォトブックとTシャツとトートバッグとアクキー限界引きしたしね…ははは。原作もこれから買う。大好きじゃん。限界引きして再度引こうとしたらアクキーは売り切れてましたとさ。
あらすじ。
読書を嫌いテレビを好み嘘のビジネスで世渡りする父親と、社交ダンス第一で読書とお話が好きなマチルダを毛嫌いするアホの毒親(あえてこのように書く)、ついでにその毒親たちはバカ息子はかわいがり…マチルダは毎日嫌がらせを受けるという環境で育った五歳の子供です。マチルダ自身は読書が好きで知能が高く想像力が豊かな子供です。
図書館で出会ったミセス・フェルブスにお話を聞かせつつ、通い始めた学校では独裁者のミス・トランチブルの恐怖政治、そしてトランチブルに抑圧されたミス・ハニーと出会い…マチルダはその知能と想像力を生かしてやっていく、みたいな感じです。詳しくはググってください…
Wikipediaのマチルダの項はだいぶ詳しいですが、2023年日本公演まではまだ反映されていませんね(2023.6.4時点)
さて本題。
これは、あなたの物語である。
もう私の言いたいことはこれに尽きる。っていうか私の物語だと思って見てたとこある。多分少しはあなたの物語かもしれんよ。私個人は、今でこそ大した才能もない、癖の強い成人としてこの世を生きているけれどね。
あなたの物語、すなわち私の物語を受け取ったのはストーリーからであるし、WHEN I GROWN UPの健やかさ、REVOLTING CHILDRENの熱気からかな。大人になって、力持ちで、大人の持つもの持てるように、怪物を倒せるように…と、ムカつく時代を戦う気概を高めた気分。そして言わずもがなNAUGHTYで「耐え忍ぶのはそれでいいと言ってるのと同じ」「正しくない」で力を授かった気分になったわけであります。
しかし、見たくない現実の物語でもある。
マチルダ、東京公演の売れ行きがあんまり…で、大阪はリピチケ含めるとまあ埋まってたほうだと思うんですが、マチルダの戦うさまとミス・ハニーが変わっていくさまに勇気を貰えてもそれ以外がきついのはわかるんです。好きだけど…
祝われない出生、暴力を受ける子供、罵りの言葉、特に大人からの助けがなく子供が戦っていくさま…どこかでハッピーさと手助けを期待するとそんなものは一切なくてしんどいよな、と思うことです。
一幕冒頭のMIRACLEで謎に一番興奮したのですが、皮肉と毒が強いからであって他の人の興奮ではなさそうで。
装置はバースデーパーティーだけど、子供たちの「祝福されている生誕」とマチルダの「望まれなかった生誕」が同時に描かれていてものすごいきつい。
「ママは言う私特別」「自慢の兵隊」とかをスパイダーマン、バッドマン、スーパーマン、ワンダーウーマンの仮装をした子供たちが歌い、バルーンマンが「100万人にひとりが100万人」つまり誰も特別な才能なんて持っちゃいない、特別な子どもなんていないと客席が理解するところから始まるの最高になっちゃった…この読みときは考えすぎかもしれないけれど。
バレリーナ枠はラベンダーまでおぼえてる、ちこちゃんの枠は王冠かぶってたっけか…キダルトはキダルトで難しいよなあなどと。
MIRACLEはブルース、エリックのほかにキダルト枠の本役ナイジェル、トミー、ラベンダー、アリス、ホーテンシアまで覚えてて、大きい子供枠とそのほかの大人はパパママ枠。パパママの黄色い帽子ペアは斎藤准一郎さん坂口杏奈さん、大久保徹哉さんとこの子供がナイジェル枠…までは覚えてる…
パパママたち、うちの子天使!最高!奇跡の一枚!でカメラを向けつつ、子供の成績が悪いなら先生を変えろ!とか歌ってるんで、ほんとうにか?ほんとうに子供のことをみているのか??????となってしまった。
ミセス・ワームウッドの妊娠9か月かそこらまで、妊娠しているということにすら気づかれなかったしどうにかしようとされていた子供がマチルダで、父親も非常識なもんでタバコ吸いながら赤ちゃんに会いに来るし(葉巻でお祝いとかそういう問題ではない)、男児希望なのにアレがないし、ミスターワームウッドはアレを金でどうにかしようとするし、アレどころか玉と竿って言うし…
※出産シーンで赤ちゃんマチルダを抱いているのはミス・フェルブス枠の方ですね。
まあそんなこんなで出生時点から男児じゃないことでがっかりされ、それからも虫けら呼ばわりされ酷い言われようと扱いで育った子供がマチルダだ、ということが冒頭で分かるわけです。
出生と子供と親の描き方に悪意があって皮肉で嫌みでまるでサウスパークじゃん!って思ったけど、ミュージカル観る層にサウスがどこまで通じるやら…
出生が賛美されてない時点でまずきついんだよな、この作品は…一般常識として、出生は尊いもので子供は宝で…が共通認識としてあるから、そこを揺さぶられる時点で気分が悪くなるのは分かる。(現実世界であればそうしたことは往々にしてあるし、そうであっても福祉でなんとかして社会が子を健やかに育てるべきと思うが、お話だからね…)
見たくない現実でいうと、SchoolSongで学校すら安全でないのもね…トランチブルの独裁によるものですが。MIRACLEのフレーズで「私特別」「先生きっと僕を気に入る」とかぬるいこといってるのを大きい子供たちが剥がしていくのが好きなんだけど、はい…
ここは訳詞もいいし、アルファベットのブロックを格子にはめながら歌もアルファベットにはまってて、その上を大きい子供たちがガツガツ動いていくのが最高…安全に舞台が進んでいてそこは安心した…
マチルダはほかの舞台で見かけたことのない「ジムキャプテン」というポジションがあり、本公演では大久保徹哉さんが務められていました。ダンスも歌も大事だけど、こういうガシガシのぼるシーンや跳び箱やら体操のシーンがあったからかな。
そしてみんなが一番嫌いになるものがミス・トランチブルかなと。マチルダにはっきり、意地悪の、デブの、いじめっ子!!!と言われてもうそれはそれは大変なんですが、彼女も彼女で傷を受けておりケアが必要な人間だと思う。そして、そうした影も、見たくない人はいるね。
ハニー先生がトランチブルの部屋に入った後、ザ・ハンマー前、トランチブルがたくさんのモニターを見てるけど、唯一カラーで動画なのがMS.TRUNCHBULLの文字の入ったハンマー投げの動画。彼女は自分の過去の栄光を見続けていることがトロフィーからも分かるし、それしか見たくないのかもなあ…孤独だよな、と思う。なんらかケアを受ける機会、彼女がケアを望めばこうはならなかったのかもしれないけど、性格もあるし、地位や実績があるとケアを受けづらい問題もある。自分の傷に向き合ってよく振舞おうとするより、過去の栄光を見たほうが慰めになるから。
我々もまたトランチブル要素があると自覚し、そうならないための振舞について、大人にならないといけない。ここで、WHEN I GROWN UPとつながる感じがした。大人の荷物が持てるかどうか、は、ありていに言うと当たり散らす振る舞いをしないかどうかだよなぁと…
作品と遠めの自分語りごめんね、こうしたことは段落ごと折りたたんで、読みたい人だけ読めたらいいが。
自分自身の生育環境が機能不全家庭で、それによる不具合を解消しようと「毒になる親 完全版」とか読んだりカウンセリング受けたりでどうにかこうにかしてて、結果実家とほぼ絶縁(日本の法は完全に絶縁できないので、ほぼ表記)、今はあまり思い出さないようになったけど、それも結構時間かかったからマチルダ見ててしんどいの分かるんだよね…
ハニー先生がトランチブルから、これまでにかかった費用の請求書渡されたって言ってたけど、私も生育にかかった費用書き出されて費用対効果グラフ書かれてたしなあ。そんなものは虚無グラフであり一蹴できますが…弟いるけど男児希望されてたから身なりも男児のそれだった時期あるし髪も刈られてたし散々な記憶がよみがえったのはある。
個人的には、セラピーを受けてある程度経った今の段階でこの作品に出会えたことは本当に幸せなことで、勇気を貰えて、感謝の気持ちでいっぱいです。個人的には、毒親育ちがマチルダで勇気を貰うにはある程度回復してたほうがよいなと思うので、ミュージカル好きで毒親育ちでマチルダに初めて触れる人は気を付けてね…と思った。あっこの程度は毒親じゃないからとかのジャッジ勢はあんまりアレなので…はい…
見たくない物語と自分自身とのはざまで
虐待シーンなどを物語として客観的に見、マチルダの親もトランチブルもケアが足りないけどそれはマチルダの仕事じゃないし大人は自分でなんとかしろ!って思うし、マチルダの「正しくない!」についてやったれやったれ!と応援勢になり、マチルダから勇気を貰えました。
ただ、前述のとおり、嫌な記憶も出てきたし、でもそれをある程度消化できたから今楽しめたのかな?と思います。自分の記憶の中には希望足り得るもの、ミス・ハニーやラベンダーもいる、嫌なものもある。なるべく希望を選んで思い出して、嫌なものは飼い慣らして生きていけたら、と思う。
観ることは私にとってセラピーなのだな…と。
そのほか、こまごまとした話
ミスターワームウッドの田代万里生さん、斎藤司さん、おふたりとも実力が確かなものであるのは大前提として。まりおさんのほうがメイク濃くて動きが大きい、型がある、斉藤さんは本業がお笑いなのもあるのか細かいとこで笑いをとる感じ。「おやじ」のイントネーションがそれぞれ違ったね。
まりおさんの喉が心配であるな…
アフトクのワームウッドの部屋は大阪で二回見て、どっちも斉藤さん司会だったのだけど見事な回し方と力の抜け方で、お笑いが本業だとうまいね…!と思いました。
マチルダ大千秋楽とNGKの斉藤さん本番裏かぶりしてるの、斉藤さんとマチルダ両方のオタクの方はどちらを選ばれたのだろうか。
アンサンブルの枠追っかけ限界オタク(アンサンブル個人ではなく、誰が今日どの枠か?に目を持って行きオペラで追うやつです)やっておるので、オリバーで認識してミス・サイゴンのドラゴンダンサーでだいぶ見た大久保徹哉さんを目で追いつつインスタでみつつ、春口さん仲本さん寺井さん山中さんのスウィング登板日に張り切りつつ、脱出名人の白山さんはカテコで白いつやつやの布を首に巻いているな~など見ていました。
で、何の話?になったけど、とりあえず今の記憶全部出しです。ここまで読んでいただきありがとうございました!
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