山姥と象

brown hair お手紙
Photo by JÉSHOOTS on Pexels.com

むかしむかしのお話。

今から20年以上前、私が小学4年生か5年生くらいの時、父方の実家に家族揃って帰省していた。
たしか法事か何かで、親族も集まっていたと思う。
その時に、私が「叔母さん(父の姉)がお母さん(私の実母)のことをだらしがないと言っていた!」だったか何かの失言をし、たちまちその場が悪い空気でいっぱいになったことがある。
10歳か11歳で言っていいことと悪いことの分別もつかないのか!、という非難も承知だが、そこはこの話ではご容赦いただきたい。社会性に欠いた振舞であるとかは承知なので…
で、ここからが問題だ。

悪い空気の中、叔母と母が言った言わないの話になっている最中、母は私を膝枕した。
そこで母が何をしたか。子を労わったわけではない。齢10歳か11歳にして既に白髪が生えていた私の白髪を掴んで、一本一本むしり取り、灰皿に捨て始めたのだ。
「羅生門」の老婆であれば、死体の髪の毛をむしり取ってかつらにして金にするという目的があった。
我が子の白髪を抜く母親は何の目的がある?母親とその我が子という構造の中に入れても意味が分からない。人間関係の解像度を少し下げて、手慰みに他人の髪の毛をむしり取るのはどうしたことか。山姥か?山姥が人の世に降りてくるんじゃないよ、と思ったが、私も人間じゃないかもしれないな、象かも。

灰皿いっぱいの自分の白髪を見た後の記憶はあんまりない。母親と叔母はその後もなんやかんややっていっているようで、父方の実家は誰も住む人がいなくなり、解体されたらしい。あの気まずい空気と目の敵にされた白髪のことは覚えている。
白髪はみっともないから抜いておこうということなのかな、その後小学校~高校まで友達からも白髪のことは言われたし自分でもかなり気にしていた。だからなんだ、という話ですが…

思えば、小学生中学生の頃、ニキビができればそれを手で潰されたり角栓を絞られることがままあった。見た目を気にする年頃の人間の肌に爪を立てるのは当たり前に行われていることなのだろうか。面皰圧出は医療行為なので皮膚科でやることだ。
現時点でお金が追い付かないから美容皮膚科通いは出来ていないが、白髪を少しでも見ると嫌な気持ちになるため、20歳過ぎから白髪染めを続けている。白髪染めは一度始めたら続けないといけないからヤダ~とか見かけるけど、こっちは自分が惨めな気持ちになるからやっているだけだ。

山姥はその後も、就職が決まらない私をメールやLINEで毎晩詰めてくるだとか20代の頃私に中高年向けの服を勧めるだとか、、だんだん狂っていき父親もそれを止めなかったので、私は実家を逃げ出した。ちなみに実家から逃げ出したらひとつ病気が治った。髪の毛をむしられたり顔に爪を立てられたり、後色々が無かったらもうちょい健全だったのかな、と思う。

ここに書いて開示したってことは何かしら思う人がいて言葉をかけられたりそうでなかったりするかもしれない、今ここの自分が少しでも美しくあるように努めたい。

白髪だけ選り分けて抜くのは山姥なのか狂人なのかどっちだろう…

よければコメントかマシュマロいただけますと、今後もぽつぽつ書くはげみになります。

追記
ここを読んでくれている方で家族は何があっても切れないとか血は水より濃い論者はあまりいないと思うのだけど…身内の恥にGoogleアドセンスのっけて全世界公開恥ずかしくないのか!というお叱りが想定されるが、虐待をして住民票閲覧制限かけられた人は身内っていうか…という感覚です。
山姥は今は地域の認知症のお役に立っているらしく、山姥なりに社会貢献出来ていて良かったなと思います。

コメント