2024.8.1 雪組「ベルサイユのばら」新人公演感想文

宝塚

観てきたので頭の中が元気なうちに感想を。覚えてる限り書く。

今回のベルサイユのばらについて

本公演2回と大劇場での新人公演を観劇して、ふっと浮かんだのか「ケアのある関係性」でした。これは私がフランス革命のことや王政のことを調べることと、組織の中のケアみたいなことを働くうえで気づいて本を読んで知見を得たり…とかが重なったからかな。今とは時代も違えば考え方も違うから今と同じ物差しで読み解くものでもないけれど、フェルゼンとマリー・アントワネットとルイ16世、オスカルとアンドレ、それぞれの間にいたわりあう気持ちがあるなあとか当たり前のことを…
あとはメンズリブ観点で読み解くとどうなるんだろうな、とか思いました。フェミニズム、ウーマンリブ観点での読み解きはわりと見た気がする、しそういう話もぼそぼそしたいけどまた改めて…今することじゃない。

新人公演について

編集されたところ

全体通して、本公演と時系列、そのほか細々したところを変えた編集になっていました。約2時間にまとめて、なるべく多くの見せ場を作って、伝えたいところに尺を持たせるとそうなる。私は過去にもベルばら観てるし原作も呼んでいるからなんとなく話の筋が頭に入っていて、だいたいどのバージョンでも話は分かるけれど、これまでベルばらにあまり触れてこなかったり知らなかった場合新公の編集のほうが時系列分かりやすいかも。

冒頭のごらんなさい、二幕のシッシーナとモンゼットのとこカットされてたけど見たかったなぁ。ごらんなさいは景気が良いから好きです。シッシーナとモンゼットのところは、彼女たちにコミカルな役割を与えるだけでなく、フェルゼンとオスカルを心の拠り所として生きている彼女たちもまたギロチンに送られるところがすごい悲しくて、新人公演でも見せ場として欲しかったなぁと思います。(今回のベルばらは彼女たちをただの笑いを取る人たちとしてないのがいい、って思ったけど他のバージョンとの比較ができるほど記憶があんまりない…)

新人公演に出演された方のことを覚えてる限り書く

フェルゼンを演じられた蒼波黎也さん、プロローグのお歌での目線の使い方がよかったですね。ノーブルな雰囲気が感じられました。長身でマントを翻すのもよく似合う…
今回のベルばらでのラブロマンス要素は仮面舞踏会~夢幻の場面に濃縮されていると思うのですが(なのでその他の場面が恋愛要素より労わりあう心の動きのほうが多いように感じられる)、それらの場面でも抜群の包容力と落ち着きがありとか、不安定な情勢の中孤独なアントワネットが出会って恋に落ちるのに説得力があるなぁと思いました。

白綺華さん、初々しく幼いアントワネットから晩年までの演じ分けが見事でした。今回のベルばらは結構心情の変化が分かりやすい演出かなと思うのですが(※しかし他のバージョンの記憶があんまりないので個人的にそう思ってるだけです…)、一番よかったと思うのはチュイルリー宮でのアントワネットとルイ16世の別れの場面。新人公演の客席からもすすり泣きが聞こえたように思います。
アントワネットとルイ16世、その当時の結婚に自由意志はほとんどないとは言え、すれ違いながらも互いに必要としあって労わりあっていたのではないか、とかをこの場面から感じました。

希翠那音さん、ルイ16世としての出番の場面で押さず引き算の演技だったのがいい…ベルばらの物語の中のルイ16世ってすごく控えめで自信がないのかとさえ思うのですが、彼なりにアントワネットを愛し労わっていたんだろうな…と。台詞とその間、喋っていないところから物語が作られるというか、静の芝居が良いと言ったらいいのか。

静の芝居と対になる動の芝居かもしれないな、と思ったのがメルシー伯爵の霧乃あさとさん。メルシー伯爵はずっとアントワネットの傍にいるが、将軍とか大尉と違って戦いに関与しておらず出来ることは傍にいて進言すること。本公演の汝鳥伶さんが素晴らしいことは言うまでもないのですが、霧乃さんもまた、フェルゼンに懇願する場面やラストの牢獄の場面の演技が素晴らしく、ただひたすらにアントワネットのことを思い労わる気持ちが強く伝わってきました。
進言することしかできない立場、労わる立場というのは時に無力で特に戦いなど情勢が不安定な中では軽視されがちですが、それでも最後までアントワネットを慕っていたとかを気づきました。
フェルゼンもルイ16世もメルシー伯爵も、アントワネットに捧げたのは無償の愛かもしれないな。

紀城ゆりやさんオスカルと華世京さんアンドレの並びはいいですね…新人公演で特に良いと思ったのはセーヌ川~バスティーユでのオスカルからアンドレへの気持ちの動きの表し方。行間を読んだような妄想みたいな解釈で申し訳ないのですが、いや感想だからそれでいいのかな、アンドレは最後の力を振り絞ってオスカルの力になりたかったし(この戦いが終わったら結婚式だ!はあまりにも眩しいし死亡フラグすぎる)、アンドレへの思いで最後の力を振り絞ってバスティーユの場面を迎える気迫が素晴らしかったです。オスカルとアンドレは戦いがない世界線に転生してほしい…

できれば本公演と同じ台詞が欲しかったな~と思ったのはシッシーナ伯爵夫人の麻花すわんさん、モンゼット侯爵夫人の華純沙那さん。もうこれは今回のシッシーナとモンゼットが好きなだけではあるのですが。それでも短縮された尺の中で爪痕を残そうと工夫されているなと感じました。
シッシーナとモンゼットの尺が短くなったことに伴いジャンヌの台詞も減ったので(ギロチンがカットされた分など)、限られた台詞でインパクトを残した瑞季せれなさん、良かったです。いやでも本公演と同じ尺欲しかったな~~~~~~これはずっと言うな。

ジェローデルの律希奏さん、2024年時点で研2にして堂々とされており、お芝居好きなんだろうな、と思いました。あの長髪カツラがよく似合っていました。
ジェローデルと同じ場面にいることが多いプロバンス伯爵の絢斗しおんさん、ブイエ将軍の夢翔みわさん、そしてヨルゲン陸軍大尉の風雅奏さん、貫禄とあの役の嫌な感じが滲み出ており良かったです。若くなくて嫌なことを言う役、も居方がいい。

そのほか

本公演二幕プロローグBが新公でもあったのですが、最後センターにいたのはどなただろう彩名美希さんかな、全身で表現する気迫のある踊りがよかったです。
愛陽みちさん、琴峰紗あらさんもっと出番があるといいな、と思いました。

ここまで書いて本日23時を回り時間切れで文章を終えます。この文章の中に名前を挙げていない方々ももちろん素晴らしく一人ひとりについて語れたら良いのですが、もうちょい回数観ないと雪組生の識別力が高まらないかもしれない…すみません…新公のパンフレット見ながらだらだら喋るやつがやりたい。

観れてよかった、はどこかで書き残しておきたいのと、もしこのブログの他の記事を読まれた方はこいつ限界やんけ…とか思われるかもしれないけど、まあそんな人でもチケ運だけはまあまあよくて、観て書き記したりもするということです。
まあまあ長いこと劇場に行く人やってるけど、ここ最近はふとケアの視点がおりてきてるのでこんな感じの感想文です。世代や普段考えてることなどなどで物語の読み解きは変わるし、あまり主流でない読み方かもしれないけれど、ベルばらこんなこと考える人もいる、ということで。
戦いを起こす側、ケアをする側、で分けて読み解いていくのもいいかもしれないな、は今ふと思った。

何かございましたらXのDMかBluesky(2024.8時点でアカウント停止中なので復活させた折にでも)かマシュマロにでも投げてください。感想を頂けますと励みになります。よろしくお願いいたします。

宝塚
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