観てきたので感想文です。
笑いどころが分からずそこまで笑えなかったけれど、エンパワメントのヒントを貰って帰りました。観た後結構元気になってたから、笑えなかったのと受け取れなかったのは違うのかもね。
ヒントを貰えたものの、そもそも女性が働く中での立場の違い、視座の違いなどがある中でどこまで共感して分かち合えるって難しいよなぁーとも思う。見えてる世界が違いすぎる時足並みをそろえる限界はあり、個人の問題なのか組織の問題なのか切り分ける必要もあり。その辺りがおとぎ話に感じられたけど、おとぎ話であることは問題ではなく、そもそもすべてが自分にフィットするものもなく、こうであればよいな、の気づきとかがあってよかったです。
今自分が自社内のDE&Iの流れを横目で見つつ実はそれに乗れてなかったり、どこか他人ごとに感じられたり、働きやすさとそれにどこまで自分のリソースを投下できるかとか考えてるとこなのでそんな視点での感想文です。合わないと思ったらこの辺りで読まないほうがいいし、もし読み切って何らか思うことがあれば感想を聞かせていただけると大変嬉しいです。
ざっくり言うとロサンゼルスの会社で働く、バックグラウンドの違う3名の女性がハラスメント上司に痛快な復讐をするという筋書きです。全然意識してなかったけど和希そらさん退団後初舞台なんだね。
演目発表時のビジュアルが好きなのと、パソナグループが協力に入ってるけどなに協力したの?というところ。最近パソナは淡路島でミュージカルやったり、音楽家派遣もやってますね。パソナはパソナであるということがなぁ…と思うことがある。
登場人物の心情については分かったり分からなかったり。これは自分の中では通常運転なので特に気にしてはいない。
ヴァイオレットはバリキャリということなのかな、ヴァイオレットはドラリー・ローズについてのセクシャルで唾棄すべき噂を鵜呑みにしてきちんと謝っていないので、それは共に働く仲間に対して大変失礼なことではないか…と思った。劇中ではあんまきちんと謝ってなくても適当に進んでるけど、フランクリン・ハートが一番厳罰を受けて噂を流した連中も最低限譴責処分を受けるべきであるなどは、自分が見えている労働の世界の価値観だなぁ…ハラスメントに対してはボロカス言いますよ私は。お話なのにね。私なら噂を流した一人ひとりの首根っこ捕まえて詰めるだろうけどその詰めで私が処分されそうや。いやだからこれはお話…
たまたまドラリーが自分の言葉で主張できて、言い返せたからよかったけれど、カスみたいなしょうもないうわさ話って大体当事者のハンドリングできないところまで飛んで行ってしまってつらいことがある。ドラリーの衣装はずっとピンクで、ピンクだと賢そうに見えないという弊害があるが、自分で考えて復讐していたしヴァイオレットに対して結構冷静なのが良かった。着ているものは賢く見えなくてもそれはその人の好みの問題であって仕事とは関係なくて、主体性があって自分の力でどうにかできるのが大事。
就労経験のないジュディには就労訓練が受けられるプログラムがあればいいね、ジュディみたいにならざるを得なかった女性は現代も一定数いて、就労にたどり着けたり、あるいは機会がないままであったり、就労の機会がないだけならいいけど外の世界との接点がなくて引きこもることもあるから…ジュディについて一番いそうなキャラクターだなと思った。
3人とも見た目には分からないことがあり、どのキャラクターも自分の身の周りの人と重なるところがあり、最初から分かり合えていたわけじゃなくてもどこかで理解があり力を合わせることがある、は今にも十分通ずるものがある。
3人と敵対するっぽいロズ・キースもお局様的な描かれ方で、でも組織の中の人間の振舞としては十分あり得るもので、ロズもまた我々の中にいたりするんだよね。嫌な奴だけど、その辺にいる人でもある。
フランクリン・ハートjr見るたびに心の中でそのハラスメントとどうして組織がこうなったのかということに暴言が出そうになった。今自分がいるところにこのような人間はいないと信じたいが、それは自分がそう思っているだけで見えてないのかもなとかでちょっと落ち込んだ。こんなに嫌な別所哲也を見ることもないし、物理で吊るされてる別所哲也を見ることもまたない。
能力を正当に評価しない、性別だけで下に見るなどは過去のものだと思いたいが、そうでもなく姿を変えて現代の課題であるし。姿の違うフランクリン・ハートがいるんだよなぁーーーーーーー、とここで、やはりあの時始末しておけばよかったのだろうか、のあれこれを思い出す。ちなみに復讐の諸々のシーンは別に私は溜飲は下がらなくて、私ならもっと陰湿な手を使うだろう…とか考えていた。いやだからこれはお話であって…
環境に適応しすぎて今のフランクリン・ハートになってしまったのだと思うと、やはり9to5の時代の労働の構造は良くないし、その良くなさから我々はより良い働き方について考えていくべき。いやだからこれはry
第二幕でヴァイオレット・ドラリー・ジュディが力を合わせて社内改革を進めるところ、ここがやっぱ一番力があったし、おそらくは多くの人が考える「こうであればよいな」が体現されていた。会社員目線ではやはりライン通したの?とか、短期間での改革で割を食う人々のことを思うし、実際の改革は表に出ない・出せないことを地味に積んでやっと綺麗な上澄みが見える認識だから、そこまですっきりはしないし中から見ても利害関係の調整大変ですね…みたいなものだったりする。もうこんなことを書く時点で私は観るのに向いてないのかもしれないけれど(※いつでもそれは今更です)綺麗な世界も見えないのに改革は頑張れないので。マーガレット・ポメランスが受けていたアルコール依存症からの回復プログラムがあるのがアメリカらしいし、日本だとこの領域はまだ従業員個人の自己責任となるところでスティグマも大きいな。外資だと福利厚生がいいとかの話じゃないです。改革の中で従業員一人一人がより働きやすい環境になればおのずといいチームになるし、逆に不満が多い環境だと悪口ばかり言ってそれでおしまいになるし。組織~~~!とおもった…
最近はDE&I文脈で各社諸々取り組んでいるところと思いますが、3人が行った社内改革のように、最初は上手くいかなくとも、全ての人の賛同が得られなくとも、うまいこと調整して落としどころを見つけて働きやすさをやる、はどこかの誰かがやっていることで、その辺り他人事でなくて面白かった。
全体的にすっきりピンときて溜飲が下がる作品ではないな、と思ったのは多分見えてる世界が違うだけで、not for meで片付けるには惜しいパワーがあるし、観たタイミングが良くなかったのかなぁ。
一番の目当ては内海啓貴さんで、気づいたらアナスタシアから1年くらい観てなかった。ディミよし俺のペテルブルグに比べるとこんな感じになるよなあという役ではあるけれど、真面目と誠意がある役なので好印象。ミセンも楽しみです。
そのほか、和希そらさんの退団後初めての(実質)相手役が俵和也さんなのちょっとわらった、俵さん上手いしアンサンブルに年長男性がいる時の安心感あるけど、俵さん!ひのあらたさんと飯野めぐみさんが揃ってオリックス劇場に立つのはもうキンキーブーツなので来年もお待ちしてます。
アンサンブルは全体的に若い方が多くて、はっきりわかったのが高瀬雄史さん、堤梨奈さん、船山智香子さん、石井千賀さんあたり。後はもうちょい頑張って識別できればよかった、限界があり申し訳ない…
いろいろ言うてますが私はこの作品を分かりたいのですよね。
今年は「虎に翼」のことが話題でもちきりで、でも放送されていた時期と自分のコンディションなり仕事の繁忙期、一言でいうと余裕であったり、あと家で映像見るのがしんどいくらい疲れ果てて毎日床と一体化しながら夏が過ぎていたしそれは今もなので、ジェンダーの観点で自分が取りこぼしているものがありそうだな、は感じています。おすすめされたものに触れられない。その反面、ドラマ観たくらいでエンパワメントされるのか?、とか、とりあえず観て自分も「はて?」とか言えたらいいのかな、もあって、エンパワメントするコンテンツとの付き合い方、距離の取り方が慎重になっているし、でも、やっぱり、分かりたい。
おとぎばなしに見えるものごとの中にエンパワメントのヒントを読み取りつつ、自分が乗り切れないDE&Iのこと…というか自分の働き方や考え方が未熟で幼いから乗り切れない、もありそうだなと俯瞰しつつ、視座高いばっかじゃ疲れるから息抜きしつつままらなない日々の落としどころを見つけつつ、ちょっと前を向こうかと思える作品に出会えるからやっぱり観ていたほうがいい、と思うことです。
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